オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ディープ・ブルー』

Deep Blue Sea, 105min

監督:レニー・ハーリン 出演:LL・クール・Jサミュエル・L・ジャクソン

★★★

概要

とっても頭のよいサメに襲われる話。

短評

ネタとして面白いのではなく、本来の意味で面白いと心から思えるサメ映画。海上に建設された研究施設が沈没するという設定だけでもパニック映画として楽しそうなのに、そこにサメが加わるのだから楽しくないはずがない。面白いものと面白いものをかけ合わせればもっと面白くなるに決まっているという発想は大変に危険であるが、本作はそんな危険な合体を見事に成功させて、至極真っ当かつ面白いサメ映画に仕上がっている。

他のジャンルの映画との整合性を考慮して三つ星にしているが、サメ映画というジャンルに限定すれば五つ星を与えたいくらいの気分である。こういうのでいいんだよ。サメ映画だからって観客を困惑させる必要はない。普通に楽しませてもよいのである。

感想

サメのディティールがリアルである。それだけで既に凄い。出来の悪い人形ではない。アニマトロニクスという技術があったことを思い出させてくれる。サメはアニマトロニクスのCGの合わせ技で、CGの動きには多少軽い部分があるものの90年代末の映画であることを考慮すれば十分な出来である。ジム(ステラン・スカルスガルド)の腕が食いちぎられるシーンはとても痛そうで、人がサメに食われるシーンをちゃんと描いているのもネタに走るサメ映画とは明確に違う部分である。

研究室のガラスを割るシーンはサメが突進してくるように記憶していたが、担架に乗せられたジムをぶん投げて割っていた。遺伝子操作により脳が巨大化したサメは三十郎氏の記憶よりも賢かった。ジムはヘリコプターの逆フィッシングにも利用されるし散々である。

三十郎氏が本作を初めて観たのは中学生の頃であったと記憶している。当時の三十郎氏は「この女研究者が全部悪いんじゃないか!とっとと死ね!」とばかり考えていた。彼女が最後の最後に食われたときには胸のすく思いがしたものである。

当時の倍を超える年齢となり、三十郎氏の考えにも変化があった。一つは、科学の価値というものを信じるようになり、たとえ犠牲が出ても研究成果は残さねばならんと同情するようになったのだろう。もう一つは、そもそも彼女がいなくてはこの物語が始まらない、つまり必要悪の概念を理解したのだろう。しかし、結局のところ、スーザンを演じるサフロン・バロウズが美人だからという線が最も濃厚である。彼女がドライスーツを脱いだときの白い下着姿に、最もお盛んだった時代の自分よりも喜んでいる自分がいた。

スーザンについての考えは変わったが、本作の真の主人公・コックのプリーチャー(LL・クール・J)についての考えは変わらない。三匹のサメの内二匹を退治する獅子奮迅の活躍である。地球上で最も美しく強い生き物がサメであるならば、世界最強の職業はコックなのである。

ネタに走るバカ路線のサメ映画とは一線を画す本作だが、一度見れば忘れられないような決定的なネタも仕込んでいる。格好よく演説をぶつ社長(サミュエル・L・ジャクソン)にサメが飛びかかるシーン。初めて見たときにはビックリしたが、二度目からは来るぞ…来るぞ…とワクワクして仕方がない。演説が最高に格好よく決まっているのもまた良い。世のサメ映画製作者たちよ、印象に残りかつ笑えるネタというのはこういうことだぞ。

ディープ・ブルー (字幕版)

ディープ・ブルー (字幕版)