オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『パニック・マーケット』

Bait, 93min

監督:キンブル・レンドール 出演:フィービー・トンキン、シャーニ・ヴィンソン

★★★

概要

スーパーでサメを釣る話。

短評

津波に乗ったサメがスーパーにやって来るなんて設定はいかにもサメ映画的だが、意外にもちゃんとした普通の映画だった。テレビ映画ではないので画面の質感も安っぽくないし、CGの質感も良好、海水も透き通って血がよく映える。冒頭、岩場の陰でイチャつくカップルではなく海で泳いでいる人が襲われることからも、バカ路線とは一線を画した映画であることが分かる。水没したセットもお金が掛かっていそうである。

あらすじ

オーストラリアを津波が襲う(サーファーは津波へ向かっていく)。海岸沿いの建物は浸水し、舞台となるスーパーも水没する。生き残った者たちは脱出を試みるが、水の中にはなんと津波に運ばれてきたホオジロザメが……。

感想

スーパーに閉じ込められるという状況に水没とサメの要素を加えることでソリッド・シチュエーション・スリラー的になっている。店内は薄暗く、サメがよく見えないので、サメがちゃんと怖い生き物として存在している。元始、サメはお笑い怪獣ではなかった。

津波に襲われるまでに登場人物たちの説明がたっぷりと行われる。主人公ジョシュと元恋人のティナ(シャーニ・ヴィンソン)。万引少女のジェイミー(フィービー・トンキン)。駐車場で一戦交えるバカップルのヘザー(カリーバ・ハイン)とカイル。他の店員ナオミ(アリス・パーキンソン)だったり、強盗犯もいる。なお、ここでの人物紹介は劇中での重要度は無視して、三十郎氏が女優の名前をメモしておきたいかどうかを重視している。

これは少々盛り込み過ぎではないかと感じるのだが、その後の展開にはちゃんと役立っている。「サメが怖い」だけの一辺倒に一応のドラマを生むことに成功している。裏を返せば、それくらいやらないと間が持たないだけなのだろうが、それは別に構わない。問題はむしろサメと人間でスリルの軸が分散し、どっちつかずになることで盛り上がりに欠ける点である。

本作の目的はスーパーからの脱出であってサメ退治ではない。最終的には戦うのだが、最初からサメを退治できる存在として描かないことで、「人間VSサメ」の戦いを中心に据えるサメ映画化を避けている。

とは言え、サメ映画であることに変わりはないので当然陳腐な要素もある。即席潜水服は動きにくそうなだけなので普通に泳いだ方がよいのではないかと思うし、ホースの回収も早すぎる。格好よく決めているけれど、人間用テーザーガンの出力でサメを退治ものなのか疑問である。

脚本の問題としては、折角スーパーが舞台なのに商品を上手く利用できていない。商品フロアと駐車場の二つに舞台を分けているが、車の窓から眺めるサメが怖い以外には設定上の違いを生んでいない。つまり尺稼ぎに過ぎない。

不満もあるが、サメ映画には分類せず、サメの出てくる映画に分類したいくらいには真っ当な映画だった。

パニック・マーケット(字幕版)