オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『共犯』

共犯(Partners in Crime), 88min

監督:チャン・ロンジー 出演:ヤオ・アイニン、ウー・チエンホー

★★★

概要

男子高校生が女子高校生の死体を発見する話。

短評

思春期ってやつは危ういなあ……。

あらすじ

女子高校生の遺体の発見現場に偶然に居合わせたいじめられっ子(黄立淮)とパッツン眼鏡の秀才(林永群)とツーブロックの不良(葉一凱)の三人。「どうやらこいつは自殺らしいぞ」「可愛いのにどうして自殺したんだろう」「イジメられてたんじゃね?」的な流れがあり、三人は好奇心という共通点で連帯する。少女の家に潜入したりしつつ自殺の真相を探る三人は、人の死という非日常を楽しんでいた。

感想

結末は途中で分かるようなつくりになっている。三人とも自殺の真相追求を楽しんではいるが、特にいじめられっ子の黄のままならない日常とは対称的である。「このままこの時間が続けばいいのに……」と願う気持ちは理解できる。しかし、非日常は非日常だから楽しいのである。それを日常に変えようとすれば、どうしても歪みが生じる。

本作のようにドラマ性の強い物語の場合、ミステリの要素で引っ張るのと、黄の心情を時系列順に丁寧に追うのとではどちらの方がよいのだろう。前者の方がエンタメ的に面白くなるが、後者でも林や葉の葛藤は毀損されないように思う。

90分とコンパクトにまとめられた映画が好きなのだが、本作は少々尺不足に感じた。遺体の少女・夏薇喬がいかにもなメンヘラ少女として描かれていて、薄っぺらさは否めない。「誰も私の話を聞いてくれないの」「私は孤独なの」だけでは彼女のドラマに重みが出ない。三人組もそうだが、キャラクターが記号的過ぎる。彼女の死が引き起こした次の事件こそが本編なのは承知しているが、事件以外の心情的な部分での繋がりが見えれば、より面白くなったのではないかと思う。夏薇喬を演じた姚愛寗の生気を感じない美少女ぶりは見事。

事件の舞台となる湖は、よくこんなところで遊ぼうと思えるなと感じる程度には汚い。しかし、その湖がとても美しく描かれている。他にも少女の遺体から流れる血と雨が混ざり合う映像も美しく描かれている。汚いものが綺麗なのである。青春というものは、汚いところもあるが美しいものなのだと思っていたが、汚いものを美しいと感じているだけなのかもしれない。思い返せば思い返すほどドロドロしている。

台湾映画である。エンドロールでそれまでの雰囲気を台無しにするロック調のポップスが流れたときは「邦画かよ!」とツッコミたくなった。