オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ホース・ソルジャー』

12 Strong, 129min

監督:ニコライ・フルシー 出演:クリス・ヘムズワースマイケル・シャノン

★★★

概要

タリバンからマザーリシャリーフを奪還する話。

短評

9.11後のアフガニスタン紛争で、12人の特殊部隊員が現地の反タリバン勢力と協力して、戦略上の要所を奪還したという実話を基にした映画である。邦題だと“馬に乗って戦う”という映像面の面白さばかりが強調されているが、戦力に勝るタリバンを相手に、短期間かつ最小の戦力で、その後の戦況に影響を与える大きな勝利を得たことが物語の肝なのだろう。

感想

米軍のみならず、現地軍閥の長であり、2014年にアフガニスタンの副大統領に就任したドスタム将軍も美化して描かれていることからも、プロパガンダ色の強い映画であることは事実である。その辺りは少し割り引いて考える必要はあるのだろうが、迫力たっぷりの戦争アクション映画であることは間違いない。

主人公ミッチ・ネルソン(クリス・ヘムズワース)率いる特殊部隊ODA595の主要なミッションは、空爆の座標を伝えることである。ドカンドカンと火の手が上がる。火薬の量は本作とは無関係のマイケル・ベイ的である(製作はジェリー・ブラッカイマー)。タリバンはBM-21なる多数のロケット弾を搭載したトラックを所有しており、本当にこんな規模の戦闘があったのだろうかと思うほど派手な戦いが繰り広げられる。

空爆の座標を伝えるだけでは英雄譚として物足りないので白兵戦に突入する。そこで騎馬部隊の活躍というわけである。中世の戦いや西部劇ならともかく、現代戦で騎馬隊というのは珍しい。ネルソン以外の米兵はほとんど乗馬経験がないという設定なのだが、専門の訓練もなしに乗りこなして、その上射撃までできるものなのだろうか。敵の銃弾は米兵にはまるで当たらないし、事実よりもかなりスーパーヒーロー化されていそうである。

敵のボス・ラザンは頭から身体まで黒い布で覆われており、いかにも悪い奴といった趣がある。“黒色=悪役”というイメージがあるが、イスラム世界において黒色は預言者ムハンマドの色とのことである。これはハリウッドがイスラムを敵として描くときに便利だろうな。

ミッチ・ネルソンのモデルとなったのはマーク・ヌッチェ氏(写真中央の人物)。現在は退役されていて、少しぽっちゃりしているようである。自分がモデルとなったキャラクターをクリス・ヘムズワースのようなどこからどう見てもヒーローの男前が演じるというのはどんな気分なのだろう。嬉しいのだろうか。それとも恥ずかしかったりするのかな。

ホース・ソルジャー(字幕版)