オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『キャプテン・マーベル』

Captain Marvel, 123min

監督:アンナ・ボーデン、ライアン・フレック 出演:ブリー・ラーソンサミュエル・L・ジャクソン

★★★

概要

宇宙人が地球人で人間やめてる話。

短評

キャプテン・マーベルってこんなによく喋るお茶目なお姉さんだったの!?『エンドゲーム』の傲慢女は一体誰?本作を観ていなくても『エンドゲーム』を観るのに支障はなかったし、逆にキャラが違うせいで混乱せずに済んでよかったのではないかと思う。

感想

MCUはDCEUよりも長く続いているのに、『ワンダーウーマン』に遅れを取ったシリーズ初の女性ヒーロー単独作品。三十郎氏は『ワンダーウーマン』もそこまで高く評価しているわけではないので、作品自体の出来は本作と大差ないと思っている(アクションはWWの方が上)。先にやった方が偉いのである。『ブラックパンサー』はサイボーグよりも先にやって良かったね。

主人公が記憶喪失という設定を使った敵と味方が実は逆でしたという展開は上手い。しかし、三十郎氏は疑問に思うのである。取り戻したかつての記憶と直近6年間の記憶が対立するときに、後者をあっさりと捨てられるものだろうか。確かに騙されて悪辣な行為に手を染めていたらしい。しかし、少なくとも彼女が正しいと信じるに足るだけの根拠はあったはずである。立場を変えられたとしても、昨日までの仲間を攻撃できるものだろうか。

この種の有り得べき葛藤はMCUにおいて忌避されている。最も葛藤が描かれてよいはずの『シビル・ウォー』ですらヒーローたちが苦悩することはなく、最初から決まっていたかのように自分の立場を選ぶ。政党帰属意識と呼ばれる支持政党への忠誠心が、生まれや育った地域によりある程度固定されるアメリカでは違和感のない選択なのだろうか。もっとも本作の場合は立場の選択というよりも、「正しいのはこっち!」と決めて、あとは一直線という感じがする。明るく楽しいMCUに三十郎氏は少し物足りなさを感じたりもする。

アクションシーンは当然迫力があるものの、ブリー・ラーソンはあまり運動が得意ではなさそう。走るシーンを見ると、あまり動けるタイプではないように感じる。ニック・フューリーはもっとドタドタしているが、顔は若返っても中身はご老体なので仕方ない。ところで、あのビームはどれくらい強い設定なのだろう。宇宙船を壊せるくらいの破壊力があるはずなのに、まともに食らった敵はピンピンしている。

最新技術により若返ってたフューリーとコールソン。『アイリッシュマン』のデ・ニーロたちもこんな感じで若返るのだろうか。見た目は若返るが、動きまでは若返らない。きっと相手をボコボコに打ちのめすシーンもあるだろうに、大丈夫なのだろうか。演出上必要なくても、かつてのヒロインたちが使ってくれと懇願しそうな技術だと思ったが、老いに抗いたがるのは二枚目俳優も同じか。三十郎氏ですら風呂上がりには化粧水と乳液をつけている。効果があるのかは分からない。頭皮マッサージと同じく、しなければもっと悪いことになりそうでやめられないだけである。

ヒーローたちの代わりに大量のスタン・リーが登場するオープニングを見ると、なんとも切ない気持ちになる。

90年代懐メロとしてニルヴァーナの「Come As You Are」が流れる。かつての男子諸君なら一度は好きになったであろうバンドである。ディストーションがバリバリに利いたグランジを聞くことはほとんどなくなったが、『MTV・アンプラグド・イン・ニューヨーク』は今でもたまに聞く。

キャプテン・マーベル (字幕版)