オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ハゲ鷹と女医』

Carancho, 107min

監督:パブロ・トラペロ 出演:リカルド・ダリン、マルティナ・グスマン

★★★

概要

交通事故の現場にいつもいる弁護士の話。

あらすじ

アルゼンチンでは交通事故が多発していることから、事故の賠償金請求が一大ビジネスとなっている。請求を担うのが主人公の弁護士ソーサ。弁護士と言っても免許を剥奪された草弁護士である。彼は何故いつも事故現場にいるのか。事故が自作自演だからである。

感想

生活困窮者と契約し、ハンマーで脚を折って交通事故を偽装する。保険金の上前をはねて一丁上がり。警察もグルになった完全犯罪である。ソーサも望んでこの仕事をしているわけではない。弁護士免許を剥奪されて困窮し、一度手を染めると組織に脅迫されて抜け出せなくなっている。南米社会の闇は深い。ブラジルのギャング、コロンビアのカルテル。本作の舞台はアルゼンチンだが、南米映画では裏社会と表社会に垣根がない印象がある。真っ当な仕事で稼げない社会構造が原因なのだろうか。

事故現場でソーサと出会い恋に落ちる女性救命医のルハン。それなりに美人で立派な仕事をしている彼女が何故ソーサのようなおっさんに惹かれるのか疑問に思うところだが、彼女は疲れ切っている。職権濫用してドーピングし、セックスの最中に眠ってしまうほど疲れ果てている。医者と弁護士という高ステータスなはずのカップルが底辺でもがくことを余儀なくされる。やはり南米社会の闇は深い。

映像面では長回しの多用が特徴。セックスシーンも長回しである。パーティーのダンスシーンから移行するので曲の終わりと共に濡れ場も終了かと思ったら、そのまま続行するので少し笑ってしまった。多用する割には狙いの分からない長回しだが、最後の最後に緊迫感と徒労感を生み出す効果を上げている。