オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『幸せがおカネで買えるワケ』

The Joneses, 95min

監督:デリック・ボルテ 出演:デヴィッド・ドゥカヴニーアンバー・ハード

★★★

概要

インフルエンサー稼業について。

短評

インスタグラムの普及に伴って、日本でもインフルエンサーという仕事が広く認知されるようになった。本作のインフルエンサーたちはインスタに写真を投稿するわけでもなければ、ブログでステマするわけでもない。リアル・インフルエンサーたちである。リアルなのにフェイクという洒落の利いた連中である。

あらすじ

住人の平均年収が10万ドルという高級住宅地に引っ越してきたジョーンズ一家。美男美女揃いの四人家族である(息子役はそれほど男前でもないと思う)。絵に描いたように完璧な彼らの姿に、たちまち周囲の人々は魅了される。それもそのはず。実は彼らは家族でも何でもない。自分たちの豪奢な生活ぶりを見せつけ、彼らに憧れる人々に使っている商品を買わせるプロのステマ集団なのである。

感想

ネットだろうがリアルだろうがやっている事は同じというのが面白い。ステマする人も、される人も同じことをしている。完璧な容姿、完璧な家族、完璧な生き方。身近にそんな人がいれば憧れもするだろう。端から見ていると「阿呆だなあ……」と思えるが、三十郎氏だって日頃から広告に釣られているわけで、人のことを馬鹿に出来ない。虚飾に塗れた姿に憧れさせることも、憧れることも、それ自体が悪いわけではない。問題は欲望の際限のなさである。

偽物の家族が崩壊し、再生する姿は本物のそれと変わりない。虚像を演じている彼らもまた普通の人間ということなのだろうが、もっと“らしい”崩壊と再生を描けていれば、より面白くなったのではないかと思う。

ジョーンズ一家に憧れて買い物をしまくり、支払いに行き詰まった隣人がプールで自殺する。白ブリーフ一丁の姿で芝刈り機(?)にホースで身体をグルグル巻きにした末の溺死である。水死体を演じている役者は、カメラが回っている間口や鼻から空気を漏らすこともできないので大変だろうな。

一家の娘を演じるアンバー・ハードが美しい。新人の父親の眠るベッドに服を脱ぎながら忍び込んで「これが好きなんでしょ?」と耳を舐める変態娘である。おっぱいも見せてくれる。三十郎氏は彼女のインスタグラムをフォローしているのだが、「どんな表情をどんな角度から撮ろうとも、あらゆる瞬間の自分が世界で一番美しい」と言わんばかりの強烈な自信が眩しい。その通りに美しい。容姿の美しさが彼女に自信を与えるのか、その自信に満ちた姿が美しいのか。彼女がその完璧な美しさを維持せんがために、本作で母親役を演じているデミ・ムーアのような整形中毒になったら嫌だなあと要らぬ心配をしている。