オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ケシ畑の小さな秘密』

Jardín de amapolas(Field of Amapolas), 84min

監督:フアン・カルロス・メロ・ゲバラ 出演:ルイス・ブルゴス、ポーラ・パエズ

★★★

概要

ケシ畑で働く親子の話。

短評

ちょっとポッチャリした少年が出会った美少女とキャッキャウフフしているので「自分もこんな幼少時代を送りたかったなぁ……」と羨ましく……ならないコロンビア映画。コロンビアと言えば麻薬とカルテルである。起こることが起こる。切ないを軽々と通り越して惨い。

あらすじ

割と最近まで活動していたコロンビア革命軍(2017年に武装解除し、現在は政党として活動中とのこと)。本作はゲリラと民兵がバリバリやり合っていた頃の話である。ゲリラに家族を殺された親子が、逃げ延びた街でケシ畑の仕事を得る。主人公の少年シモンは、街で出会った美少女ルイーザと仲良くなったり、ケシ畑のボスに気に入られたりと何だかんだやっていたのだが、そんな街にも内戦の足音が忍び寄る。

感想

ケシの身から採れる汁を乾燥させるとアヘンになり、アヘンを加工するとモルヒネやヘロインになるそうである。そんな凶悪ドラッグの製造所で小さな子どもが働いているなんていうのは異常事態かもしれないが、コロンビア的日常と言えなくもない。環境は最悪だが、周囲の大人たちは良くしてくれるし、シモン少年を決定的に歪ませているわけではない。

シモンとルイーザの淡い恋模様は瑞々しく、可愛らしい。シモンは特殊な環境下に置かれているものの、これはこれで日常かと受け入れてしまうことの間違いに映画の端々で気付かされる。二人が仲良く戯れている場所は地雷原だし、何より街に持ち込まれる“争い”は決定的に受け入れ難い。

“争いが落とす影”のような生温いものではなく血が流れる。彼らがどれだけ酷い環境に置かれているのかを突き付けられる。悲しいとか切ないといった感情よりも無力感に襲われる映画だった。