オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『モン・パリ』

L'événement le plus important depuis que l'homme a marché sur la Lune, 95min

監督:ジャック・ドゥミ 出演:カトリーヌ・ドヌーヴマルチェロ・マストロヤンニ

★★★

概要

男が妊娠する話。

短評

男も妊娠する。シュワちゃんでなくとも妊娠する。なんと男が妊娠するのにムキムキの筋肉は必要なかったのである。

あらすじ

「体調が悪いなあ……」と悩むマルコ(マルチェロ・マストロヤンニ)を心配した婚約者(というよりも内縁の妻)のイレーヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)が医者の予約をとって病院へ行かせる。ドゥラヴィーニュ医師曰く「産婦人科に行ってくだい」。そして産婦人科のショーモン教授曰く「おめでとうございます」。

感想

シュワちゃんの『ジュニア』よりも20年近く前の映画である。ウーマン・リブの高まりが製作の背景にあったのだろう。男性の妊娠が意外にもすんなり受け入れられていくので極端な形で男女平等社会を描いてみせたように感じるが、ラストは唐突に「お腹の中は空です。妊娠じゃなかった」となることからも、根本的な性差は変えられないという主張も見え隠れする。やはり男が妊娠するためにはムキムキの筋肉が必要なのである。

診察前に「自分に何かあったら妻子は……」と不安がるマルコに対して医師が言い放つ「奥さん働いてるんでしょ。なら大丈夫よ」。もう少し言い方というものがですね……。

男の妊娠なんてありえないと驚くイレーヌたちに対してショーモン教授がこう説明する「16世紀の中国の詩人が男の妊娠について言及している」。遠い国の相手が知らない権威の言葉を引用すれば説明したことになる。『恋文の技術』ではアイダホ州立大学のコヒブミー先生の言葉が度々引用されている。三十郎氏も誰か架空の権威を創作していつでも使えるようにしておきたい。

原題は「人類が月面に降り立った以来の最も重要な出来事」という意味。これでは長すぎるので、邦題は劇中で流れる歌詞の一部を採用している。もう少し工夫すればいいのに。

妊娠するとイチゴが食べたくなるというのは本当だろうか。三十郎氏は妊娠していないがいつだってイチゴが食べたい。もしかすると妊娠しているのかもしれない。ムキムキの筋肉がないのできっとしていない。

モン・パリ(字幕版)

モン・パリ(字幕版)