オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ダブルボーダー』

Extreme Prejudice, 105min

監督:ウォルター・ヒル 出演:ニック・ノルティパワーズ・ブース

★★★

概要

警察、マフィア、軍人が三つ巴の麻薬戦争。

短評

ウォルター・ヒル監督作品。この監督は逃がし屋や国境の麻薬戦争といった近年人気のモチーフを早い時期に扱っている。目の付け所が良かったのか、彼が後世に影響を与えたのか。近年の作品は不発気味なのが悲しい。

あらすじ

警察とマフィアという立場に分かれ対立することになるジャック(ニック・ノルティ)とベイリーは幼馴染である。おまけに同じ女を愛しているときた。これはなかなか素敵な因縁である。男ばかりの汗臭い映画には美女の潤いが必要である。できれば相手を殺したくはないけれど対決せざるを得ない宿命に導かれる西部劇的な趣がある。

感想

二人の宿命的対決というシンプルな構図を掻き乱すのが、死んだことになっている軍人集団。彼らの正体は何なのか、何をしようとしているのか、何が目的なのか。映画にサスペンスフルな要素を与えて楽しませてくれるが、彼らがいない方がドラマが重厚になった気もする。バランスというのは難しい。リーダーの少佐が強盗時にパンストをかぶった顔がジョリオン・レスコットに似ている(レスコットさん、ごめんなさい)。

ベイリーがサリータに言う「俺はお前の最初の男だ。忘れられないだろう?」。気持ち悪い。気持ち悪いのでフラれる。最初の男に“なる”ことに執着する男が多いのは周知の事実だが、最初の男に“なった”後もこだわる男はどれくらいいるのだろう。ある意味で純情だがストーカー気質である。果たして女は最初の男を忘れられないのだろうか。三十郎氏には知る由もない。

銃撃戦や爆破シーンの迫力はなかなかのもの。クライマックスばかり盛り上げてもつまらないが、大規模な爆発を中盤のどうでもよいところに持ってくるのは惜しい。

もちろん最後は主人公のジャックが勝って終わる。しかし、ベイリーを殺しただけでマフィアはそのままなのにハッピーエンドっぽいのは「それでいいのか……」と戸惑う。新しいボスの要求をはねつけた風だが、命惜しさに逃げ帰っただけである。