オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『パターソン』

Paterson, 117min

監督:ジム・ジャームッシュ 出演:アダム・ドライヴァーゴルシフテ・ファラハニ

★★★★★

概要

パターソン在住パターソンさんの日常。

短評

何気ない日常も見方を変えれば詩的に見えてくる。世界に意味を与えるのは自分である。本作を観た後の映画館からの帰り道は、来たときとは違う景色が見えた気がした。

あらすじ

毎日同じような時間に目を覚まし、同じシリアルを食べ、同じ道を歩いて仕事場へ行く。同じ道を運転し、同じ道歩いて家に帰り、妻と夕食を共にし、犬の散歩へ。散歩の途中にいつものバーで、いつもの一杯。

感想

初めて本作を観たときには、意味ありげな風景の意味は何なのかを考えていた。意味ありげな会話、意味ありげな双子、意味ありげな事件。それが最後に永瀬正敏演じる日本人との会話で見方が一変する。日常の全てが美しく詩的なのである。大切なのは、それを見ようとする目である。些細な変化を見逃さない観察力と対象への愛である。世界が三次元ではなく四次元であると知識が教えてくれるように、詩や映画のような芸術は世界の捉え方を拡張してくれる。

今回は二度目の鑑賞なので無理に意味を探るような見方はしない。ただ切り取られている光景の美しさを噛みしめるだけでいい。劇中でパターソン(アダム・ドライヴァー)の書く詩が何度か繰り返されている内に味わいが分かってくるように、映画そのものも二度目にはより味わい深く映る。射し込む光の一筋まで愛おしく感じる。

やらかしてパターソンを落ち込ませるも、新たな気付きのきっかけをつくるブルドッグのマーヴィン。演じているのはネリー。EDクレジットでは三番目に名前が出てくる重要キャラである。バーの外に犬を繋いで散歩の途中で一杯とは素敵な時間の過ごし方だが、三十郎氏なら犬が連れ去られないか心配で落ち着かない。ブルドッグは怖いので盗める人もいないか。

ムーンライズ・キングダム』の小さなカップル(カーラ・ヘイワードとジャレッド・ギルマン)がアナーキズムについて語り合う学生役で出演している。道を違えず大きくなっているようで安心した。

パターソンが大量の水で飲み下す「チェダーチーズと芽キャベツのパイ」は美味しくないのだろうか。美味しそうな見た目と響きなのに。

パターソン(字幕版)
 
Paterson

Paterson