オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『フード・インク』

Food, Inc., 93min

監督:ロバート・ケナー

★★★

概要

食品産業の裏側。

短評

食の安全性について様々な切り口からの問題点が取り上げられるが、行き着く先は経済至上主義である。大企業による寡占が食の安全を阻害するシステムを生み出し、そのシステムの生み出す利益がシステムの是正を阻害する新たなシステムを生み出す。

事件が起こるのは前者のシステムである。事件が起これば大きく報道され、人々は問題への対処を求めるだろう。しかし、より問題視すべきなのは後者であると三十郎氏は考える。

感想

本作が取り上げているように、大企業による食品の生産プロセスの変化が新たなリスクを生み出したことは事実だろう。O-157の発生原因や肥満問題、効率的な食肉生産の現場はとてもショッキングに映る。しかし、従来のプロセスにもまた別種のリスクがあるはずである。問題が起きたときにどう対処するか。それが重要である。巨大化した企業は政策を左右する力を持ち、必要な措置がとられない。何が必要なのかを捻じ曲げる力を持つ。このパワーこそが本当の恐ろしさである。

食品産業の問題を考える上での難しさは、それが食品だけの問題に留まらない点にある。本作でも触れられているように、高カロリー低栄養食品は安い(本作に出てくるアメリカの1ドルメニューは日本の100円メニューよりも魅力的だった)。「安全で栄養豊富な食品を食べましょう」といくら啓発されたところで、無い袖は振れない。また、必要悪という側面もある。食品の生産を効率化することで他の産業へ労働力が移行し、生活は豊かに便利になっている。安くて美味しい以外の部分でも恩恵を受けている。

悪名高い企業として紹介される恐怖のモンサント。日本でも種子法廃止の際に話題に上ったことは記憶に新しい。その後どのような影響が出ているのだろうか。

風評被害法の登場は完全にディストピア的。

スーパーサイズ・ミー』や本作を観ていても、たまに猛烈にファーストフードを欲するときがある。我ながら立派に洗脳されて中毒になっていると思う。