オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『シンクロナイズドモンスター』

Colossal, 109min

監督:ナチョ・ビガロンド 出演:アン・ハサウェイジェイソン・サダイキス

★★★

概要

怪獣とシンクロする話。

短評

アイディアは抜群、展開はいまいち。主人公グロリア(アン・ハサウェイ)と怪獣の繋がりや存在をどう解釈するかが生命線となるが、今ひとつ見えてこなかった。

感想

怪獣とシンクロすることを通じてグロリアが自身の負の部分から脱する話だと理解するのは容易だが、怪獣とシンクロするという仕掛けに観客の興味を引く道具以上の意味があるのだろうか。

グロリアの敵の一つは「酒」だろう。自身が酔っ払ったときに掛ける迷惑と後悔を怪獣的規模に拡大することで反省を促す。ソウルの人々には迷惑な話である。しかし、彼女個人のレベルでは意味のある行為である。

もう一つの敵は「男」だろうか。彼女は怪獣とシンクロすることで支配的な男たちから脱する。しかし、恋人のティムはグロリアを抑圧しているように見えるが、問題を抱えて彼におんぶにだっこなのはグロリアの方である。自身の自堕落さの原因を男に押し付けてはいけない。もう一人の男であるオスカーもシンクロがなければ彼女を支配することはできないのでトートロジー的である。

オスカーが半ば狂気に駆られるまでの描写はリアルに感じた。「ここにソファがあったらいいね」と言ったのは自分なのに、実際にソファを運んできてグロリアが驚くと「君が要るって言ったから」と返す。好意を押し付けは支配欲の一端なのだろうか。

少女グロリアと大人オスカーの共通点は、怒りをぶつけるためにシンクロしている点である。しかし、大人グロリアはそうではない。オスカーの抱える問題は解決に導かれず、闘ってハッピーエンドというのは怪獣映画的と言ってよいか。

意味ありげなシリアス展開なので勝手に色々と考えてしまうが、基本的にはコメディである。ソウルで実害が発生しているが、公園で大人がバカやっているだけである。

グロリア曰く「男はイケメンの友達を紹介しない」。女性も同じである。