オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』

Godzilla: King of the Monsters, 131min

監督:マイケル・ドハティ 出演:ミリー・ボビー・ブラウンヴェラ・ファーミガ

★★★

概要

ゴジラがギドラから地球を救う話。

短評

期待していなかったところは予想以上に酷い出来だが、期待していたところは期待を遥かに上回る素晴らしい出来だった。こういうのが観たかったのだ。怪獣を精細なCGで描ける時代に観たい怪獣映画はこれだったのだ。

感想

締めすぎたネジがバカになるように、盛り込みたい要素を全部入れると容器の底に穴が空き、物語はガバガバになる。怪獣決戦、軍部対モナーク、家族ドラマ、テロリスト、オキシジェン・デストロイヤー、海底古代遺跡。やり過ぎである。『エンドゲーム』の三時間がスカスカだったように思えるほど詰め込めるだけ詰め込んでいる。冷静にならずとも粗が目立つが、ぎっしりと詰め込まれたおかげで退屈する暇がない。

ゴジラ、ギドラ、ラドンモスラ。彼らのデザインは文句なしである。ギドラはちゃんと首が長くて羽が巨大だし、ラドンは「炎の悪魔」なる二つ名をもらって巨大なプテラノドンよりも格好よくなった。邪悪な幼虫モスラから嵐を薙ぎ払う成虫モスラへの変化も見事。芹沢博士に気合を入れられてパワーアップしたゴジラのなんと禍々しく神々しいことか。どの怪獣の登場時にも「やべぇ……かっけぇ……」というプリミティブな感動に飲み込まれる。

そしてよく動く。その動きがまた素晴らしい。怪獣の初動の遅さはその巨大さに伴う重さをしっかりと感じさせてくれるし、野性的な動きも見られる。ゴジラとギドラは互いに噛み付き合って攻撃し、ギドラは長い首を活かして蛇のようにゴジラを締め上げる。こういう戦い方が見たかった。動物的な攻撃だけでなく、怪獣的な攻撃、つまりゴジラの放射熱線やギドラの稲妻もバランスよく使われ、まさに怪獣の対決と呼ぶに相応しい格闘シーンに仕上がっている。

そして格闘シーンが長い。これはとてつもなく嬉しい。前作の『GODZILLA ゴジラ』も好きだが、やはり主役の出番が少ない点だけは物足りなかった。尺をたっぷり取っているから、上述したように様々な動きで魅了してくれる。怪獣の魅力は怪獣を出さないと伝わらないものがある。

オキシジェン・デストロイヤーの使い方は不満である。日本のゴジラシリーズを観た人なら知っている超重要アイテムだとしても、モンスターバースには登場していない謎アイテムでもある。そんな高性能且つ重要な兵器を説明もなくさらっと出してよいものか。「他の作品を観ていないと分からない」の「他の作品」はあくまでモンスターバースの枠内に収めるべきだろう。

息子の死に意味を見出すため過激な行動に出るという心理描写そのものは良いと思うが、他の怪獣を使ってゴジラに復讐したいだけにした方がシンプルで良かったのではないかと思う。どちらにせよ母の根本的なモチベーションと導かれる結果は同じである。放射線を放つ怪獣が通った場所で植物が繁栄するなどという必要以上に都合の良い神性を付加せずに済む。

パワーアップ後のゴジラはバーニングゴジラといい、『ゴジラvsデストロイア』に登場するらしい。少年の妄想映画で愛想を尽かし、本作を観た後に着ぐるみや動かないゴジラには戻れないと思ったが、この形態だけは気になる。本作の攻撃があまりに格好いいので、観たら観たでガッカリしそうなのがなんとも言えないところである。

エンド・クレジットのキャストにゴジラ、ギドラ、ラドンモスラが名を連ねている。モスラ以外は「Himself」、つまり雄で、モスラは「Herself」、雌だった。

ラドンスネ夫的転身ぶりが笑える。ギドラに付き従ってモスラにやられたかと思えば、最後はちゃっかりゴジラに平伏している。お前、死んでなかったのかよ。戦闘機から脱出したパイロットがラドンの口に一直線だったり、回転して周囲の戦闘機を薙ぎ払ったり、面白シーンが多い怪獣である。

渡辺謙演じる芹沢博士は、薄弱な根拠によって怪獣を残すことを前提とし、戦うことを放棄しているため、志村喬が演じた山根博士に近いキャラクターに感じた。久しぶりに見たチャン・ツィイーは変わらず美人で、今後は彼女がアジア人枠を引き継ぐのだろう。彼女だけモスラの孵化時に中国にいて、他のシーンでは合流しているなど神出鬼没である。

テロリストの名前を途中で失念してしまったので、登場する度に「タイウィンだ」と考えていた。彼の名前はアラン・ジョナ。演じているのはチャールズ・ダンスである。

急激なズームで怪獣に寄るカメラワークだけは安っぽく感じた。

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ(字幕版)

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  • 発売日: 2019/11/18
  • メディア: Prime Video
 
ゴジラ キング・オブ・モンスターズ(Godzilla King of the Monsters)(2枚組)【帯&解説付輸入盤国内仕様】

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