オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ドリーム ホーム 99%を操る男たち』

99 Homes, 112min

監督:ラミン・バーラミ 出演:マイケル・シャノンアンドリュー・ガーフィールド

★★★

概要

家を取られた男が家を取る仕事をする話。

短評

映画が始まる前にアルバトロス(サメの会社)のロゴが登場したのでクソ映画ではないかと不安になったが、社会問題を扱った真面目な内容だった。

感想

家からの退去を迫り住人の生活を破綻させるカーヴァー(マイケル・シャノン)は悪党に思えるが、彼の基本的なスキームは法に則ったものである。だからこそ立ち退きに際して公権力の助力を得られるわけで、一部の違法行為とミスさえなければ成功者のままである。

彼とて自分のやっていることが倫理的に正しいと思っているわけではない。取るか取られるかのどちらかしかない世界において「取る側の方がマシ」だから人々を傷付けているに過ぎない。主人公のナッシュ(アンドリュー・ガーフィールド)が、自分の受けた理不尽をそのまま他者に対して突き付けているのと変わらない。

ナッシュは良心の呵責に耐えられなくなるが、それは映画的なドラマであって、現実には生活のために仕事を続ける人が多いだろう。「仕事だから」の一言が、自らのモラルハザードに対する十分な言い訳になってしまう。

邦題の「99%を操る男たち」はミスリード。原題の『99 Homes』は100軒の家に関する契約の内の一軒が失敗に終わる内容という意味なので、ウォール街占拠運動と直接の関係はない。問題を突き詰めればウォール街へと行き着くのかもしれないが、映画に登場するのは「操られている」側の99%である。

家を取られる人々には様々な事情や生活がある。中でも身寄りのない老人が追い出されるシーンでは胸が痛んだ。銀行に勧められるまま内容を理解せず変動金利の契約をしてはいけないし、彼らは皆契約を理解してはいないのだが、彼らの無知を責めるのは酷である。そもそも理解できないような契約を可能にするための規制緩和が行われていることを問題視すべきだろう。