オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『アンセイン~狂気の真実~』

Unsane, 97min

監督:スティーヴン・ソダーバーグ 出演:クレア・フォイ、ジョシュア・レナード

★★

概要

カウンセリングを受けたら精神科に入院させられた女性の話。

短評

「狂気の真実」という副題が劇場未公開のB級映画っぽいが、監督はスティーブン・ソダーバーグである。盟友マット・デイモンもちょい役で出ている。もっとも日本では劇場公開が見送られた紛れもない低予算映画である。

感想

カウンセリングで希死念慮について言及したばかりに強制入院させられたソーヤー・ヴァレンティーニ(クレア・フォイ)が主人公(三十郎氏も大学の健康診断で「死にたいと思うことがある」に◯をつけたら連絡がきたことがある)。格好いい名前である。精神病院を舞台とした場合、主人公が狂っているのかそうでないのかボカすケースが多いように思うが、本作は割とハッキリしている。序盤は彼女が狂っているように見えるが、中盤以降は彼女の主観では無い客観的な描写で「敵」の正体が明らかになる。心理的な曖昧さでハラハラさせるのではなく、「敵」の気狂いぶりに怯える映画である。

中心となるソーヤーと「敵」の対決が一段目の構造。これはあまり好みではなかったが、二段構えの二段目は気に入った。ソーヤーの強制入院は保険を目当てにした病院が患者数を増やすためのものであることが示唆される。これも患者からの情報だけだと当てにならないのだが、その分認識に揺れが生じる。

全編がiPhone7で撮影されたそうである。映像的な特徴としては、コントラストが強く、被写界深度が深い。そしてダイナミックレンジが狭い。スマートフォンでこれだけのものが作れるのは凄いが、プロ向けの機材ではない。「もう大きなカメラは必要ない」というレベルではない。

「アンセイン」という邦題は、原題の「Unsane」と同じ。いかにもB級映画的な謎和製英語というわけではない。「Insane」との明確な違いは分からなかった。

本日の童貞を殺す言葉。「あなたの最後にはなれても初めては嫌なの」。