オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。

『柔らかな肌』

Eloïse, 95min

★★

あらすじ

絵のモデルを務めている内にレズビアンの世界に目覚める話。

感想

大人しい女の子アジアには男の恋人ナタニエルがいるが、大学で出会ったエロイーズに頼まれデッサンのモデルを務めている内に彼女と恋に落ちる。

あらすじには「目覚める」と書いたが、実際のところどうなのだろう。エロイーズとの出会いにより気持ちに変化があったのか、それとも抑えていたものが表出したのか。エロイーズとの性交の描写はあるものの(ことの翌朝、キスマークに気付いて戸惑う。上手い示唆だと思う)、ナタニエルとのそれはない。女友達にキスをして拒まれるシーンもある。抑圧的な母親の存在も考慮すれば、後者が妥当だろうか。

二人が高級ホテルのプールに忍び込み全裸遊泳するシーンが幻想的である。水中の映像というのは幻想的である。便器の中に沈み込んでいったときですら水中は幻想的に映る。女神の如き裸体を持つ二人の女性がゆらゆらと漂っていれば、それはもう幻想的に違いない。

最後の事故のシーンはあえて描かずとも、そこまでの展開と直前に信号の色が変わるシーンだけで察することができるので蛇足ではないかと思う。アジアの思い描いた幸せな夢で締めくくる方が幻想的な仕上がりになったのではないか。一方で幻想性にこだわり過ぎるのは、同性愛をリアリティをもって見られていないからという気がしないでもない。

ヘルマン・ヘッセの『デミアン』がアジアとエロイーズを繋ぐ。いつか読みたいと思いながら半永久的に後回しになっている本である。本作の内容と関係あるのだろうか。