オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『アンブレイカブル』

Unbreakable, 106min

監督:M・ナイト・シャマラン 出演:ブルース・ウィリスサミュエル・L・ジャクソン

★★★

概要

絶対死なない怪我しない病気にならないおじさんの話。

短評

ミスター・ガラス』を観て、本作の内容を思っていたよりも忘れてしまっていることが発覚したので。イライジャとデヴィッドの対比という設定の他はベンチプレスのシーンくらいしかはっきりとは覚えていなかった。『ミスター・ガラス』の前に復習するべきだったが後の祭りである。とは言え、『ミスター・ガラス』後に本作を見返してみるというのも、それはそれで味わい深い。

あらすじ

隣に座ったおヘソのセクシーな美女を、指輪を外して口説こうとするも迷惑がられる助平な禿親父というのが、本作のヒーロー、デヴィッド・ダンの実像である。当時のブルース・ウィリスの頭頂部の砂漠にはポツポツと雑草が生えている。

感想

初めて本作を観たときには衝撃のラストばかりが印象に残り、そこへと至る論理にはあまり注目していなかった。改めて観ると、ヒーローとヴィランの対比や存在理由についての議論や、力を用いず知力を使うヴィランこそが本当に恐ろしいという提示が、『ダークナイト』以前に明快に示されていたことに驚かされる。コミックの世界では定番なのかもしれないが、本作をもっと評価しておくべきだったと後悔している。

今の生活に対して違和感を抱くデヴィッド。ヒーローとして活動することでその違和感は消える。ヒーローとしての使命のような仰々しいものでなくとも、自分の持つ能力を十分に活かせていない不満と言い換えれば一般化できるモチーフである。

印象的な演出が二つ。一つは、イライジャが初めてコミックを手に入れるシーン。彼が包みを開くと、そこにあるコミックは上下逆さまになっている。彼が今後身に付けるコミックの歪んだ見方が示唆されている。もう一つは、色の使い方。デヴィッドが駅で悪人探しをするシーンでは、悪人たちが鮮やかな色の服を着ていて視覚的に追いやすくなっている。デヴィッドが見るヴィジョンにおけるイライジャの服装も同じである。

『ミスター・ガラス』のステイプル医師がデヴィッド最大の危機を説明するなら、「あなたが泳げないだけよ」だろうか。

アンブレイカブル(字幕版)

アンブレイカブル(字幕版)