オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『40』

Forty, 89min

監督:エムレ・シャヒン 出演:デニス・チャクル、アリ・アタイ

★★★

概要

大金の入ったバッグを失くして、拾って、盗まれる話。

短評

2009年のトルコ映画イスタンブールを舞台に大金を巡って三人の男女が右往左往する話である。

三人の人物像や過去については、彼らの独白を混じえた回想シーンで描写される。それぞれに金が必要である事情が明かされるが、残念ながらどのキャラクターにも共感できない。

あらすじ

最初にバッグを持っているのは運び屋のメティン。大金を預かり運んでいる途中で女の部屋に寄り、一戦交えている間に窓からバッグが落ちてしまう。阿呆である。落ちてきたバッグを拾ったのが移民のゴッドウィル。パリへの不法入国に金が必要であり、善意で泊めた女に貯めた金を盗まれた気の毒な男である。同情すべき男のように思われるが、パリを夢見る理由が、少年時代に憧れていた少女を追いかけるためというストーカー男である。バッグを持つゴッドウィルが車に轢かれ運び込まれた病院の看護師がセヴダ。浮気者で無職の夫(院内の全ての女性と寝て解雇された医師。なんたる絶倫!)から逃げ出すために金が必要である。しかし、意識不明の患者の荷物を盗む看護師に同情すべき理由はない。

感想

大金の入ったバッグを軸にイスタンブールを恐るべきスモールワールドに仕立て上げた群像劇のプロットは面白い。一方でキャラクターは魅力に乏しく、説明不足の箇所も多い。メティンを襲う結末も、それを伏線と呼ぶのは流石に無理筋である。

冒頭の独白も上手く機能しているとは思えない。どういったシチュエーションで独白しているのか分からないまま映画が終わってしまう。特に意味がないのなら、語る様子を映さずとも回想シーンに重ねるだけで十分である。