オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『女神の見えざる手』

Miss Sloane, 132min

監督:デニス・マッデン 出演:ジェシカ・チャステインマーク・ストロング

★★★★

あらすじ

ロビイストのお仕事。

短評

主人公のマデリン・エリザベス・スローンはとっても怖い女である。敵に回すと恐ろしいし、味方につけても恐ろしい。彼女の仕事はロビイスト。簡単に説明すると、クライアントの要望を実現するために政治家や官僚へ工作を仕掛ける人である。議会のロビーで活動するからロビイスト

あらすじ

大手事務所を離脱し、弱小事務所で銃規制法案通過のため無謀な戦いをはじめるスローン女史。彼女はとても有能なロビイストなので、次々と法案に賛成する議員を獲得していく。しかし、彼女の頼もし過ぎる仕事ぶりを見ているだけでは面白くない。彼女は身内を信頼しないし利用さえする。突然彼女の餌食となる部下には寝耳に水である。もちろん観客も驚く。とんとん拍子で成功していく中に小さなどんでん返しが仕組まれている。

感想

法案通過のために活動しているシーンは、とてもテンポよくスピーディである。「この人は(色んな意味で)凄いな」と呆れ、感心している内に、映画が彼女の聴聞会から始まったことを忘れてしまうほどである。それが一転、聴聞会がメインになると途端に退屈になる。しかし、この退屈さこそが最大の伏線なのである。

ここまでは全て計算ずくの行動で乗り切ってきたスローン女史。何か起きたときにも「ここはどうやって対処するのか」と観客はワクワクする。ところが聴聞会の退屈さは、「こんなことよりも法案の行方が気になる」とイライラさせる。彼女の狙いよりも物語の行方へと視点が移る。これは窮地だぞと思わせる。観客の注意を逸らせば、大きなどんでん返しへの準備が整う。

主人公であるスローン女史に感情移入するので、キャンペーンが上手くいってほしい。しかし、彼女のやり方は決して褒められたものではないので、報いを受けてほしい。個人的な信条として銃規制法案には通過してほしい。三十郎氏の揺れ動く感情を見透かしたかのように見事に応えてくれた結末に驚かされた。

気になった点が二つ。一つは、男娼の存在。彼の聴聞会での証言内容は予想していたものだったのか。裸の付き合いで(少しだけ)内面を晒した相手が応えてくれたのだろうか。もう一つは、オフィスで泣き崩れるシーン。自身への攻撃でキャンペーンが失速することを予想しているのなら、焦って物に当たり散らす必要はないはずである。

ロビイストに興味を持った人なら、Netflixのドラマ『ハウス・オブ・カード 野望の階段』も楽しめるのではないかと思う。議員やクライアント、ジャーナリストといった様々な視点が加わり、政治の世界における彼らの位置付けをより理解できるはずである。三十郎氏の最も好きなドラマの一つだが、主演のケヴィン・スペイシーが追放されてしまったので最終シーズンは観ていない。

マーク・ストロングは格好いいハゲだと思う。