オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ダブルフェイス 秘めた女』

Ne te retourne pas(Don't Look Back), 110min

監督:マリナ・ドゥ・ヴァン 出演:モニカ・ベルッチソフィー・マルソー

★★

概要

ソフィー・マルソーモニカ・ベルッチに変身する話。

短評

Amazonの紹介文に「エロチック・サスペンス」という魅惑の言葉が書いてあったので観たが、あまりエロくもないし、サスペンスフルでもなかった。エロいことがはじまったかと思えば「いや!いや!放して!」と唐突にヒステリーを起こす。相手の男も、見ている三十郎氏も「一体何がしたいんだ…」と期待を裏切られた気分である。

あらすじ

幼い頃の記憶がない女性ジャンヌ(ソフィー・マルソー)が、自分のことも家族のことも分からなくなり、自分や母親の顔が別人のものに変貌するという話である。簡単にまとめてしまうと、抑圧されていた過去の記憶と対峙して自己のアイデンティティと向き合う話なのだろう。

感想

「自己認識」や「二面性」の問題であることから、内面について描いていることは容易に理解できる。それはジャンヌ自身が自分をどう見るかだけに焦点を当てれば十分であって、「壁に写真が貼ってあると思ったら鏡でした」みたいなシーンは不要である。サスペンスとして盛り上げようとしたことで、却って陳腐化してしまった印象。

途中の経過は退屈なものの、記憶をめぐるミステリーとしては分かりやすく、すっきりする結末である。そこで完結してしまっているので、自己認識について考えさせるような奥行きはない。

ソフィー・マルソーモニカ・ベルッチの顔が融け合っていく様子は不気味である。しかし、二つの人格が並んで座るよりも、融合して一つの人格として完成させた方が良いラストになったのではないかと思う。二人の顔が融合しても違和感がなければ、二つの人格の共存を視覚的に示せたはずである。

メイクをしているシーンを見て思う。アイラインを引くときに、うっかり眼球を突き刺してしまう人はいないのだろうか。