オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『疑惑の影』

Shadow of a Doubt, 107min

監督:アルフレッド・ヒッチコック 出演:テレサ・ライトジョゼフ・コットン

★★★

概要

叔父さんが殺人犯かもしれない話。

短評

事件は既に物語の外で起きており、映画の中で事件は起こらない。少女の心に芽生えた疑惑を巡る心理劇だけでサスペンスを成立させている。

あらすじ

少女チャーリーは、大好きな叔父のチャーリーが殺人犯ではないかという疑惑を抱く。これが第一のサスペンスである。叔父が殺人犯などとは信じたくないが、調べていく内にこれはどうにも否定できないということになる。

第二のサスペンスは、叔父が殺人犯であることを確信した少女チャーリーの叔父との対峙である。殺人犯であると分かれば、あれほど好きだった叔父がとても恐ろしい男に見えてくる。叔父も少女の疑念に気づいたらしく、二人の間に緊張が生まれる。

叔父が殺人犯であるとしても警察に突き出したくはない。弟を愛する母を悲しませたくない。少女の心に葛藤が生まれる。叔父も少女をどうすべきか考える。それが第三のサスペンスとなる。

感想

映画の冒頭でチャーリー叔父が悪い男であることを提示し、ミステリーの要素を排除した上で平凡な家庭の中にサスペンスを生じさせる。ヒッチコックの見事な手腕である。ミステリーオタクたちの会話に見られるようなユーモアで緩急をつけている所もヒッチコックらしい。

唯一残念なのはオチの弱さである。

「少女チャーリー」と表記し、映画の中でも少女然と振る舞っているが、演じているテレサ・ライトは当時24才で少女と呼べる年齢ではない。しかし、少女にしか見えない。