オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『アイアン・スカイ ディレクターズ・カット版』

Iron Sky, 110min

監督:ティモ・ヴオレンソラ 出演:ユリア・ディーツェゲッツ・オットー

★★★

概要

月の裏側からナチスが攻めてくる話。

短評

清く正しいB級映画である。予算の不足により出来ることが制限され、映像もチープというのは、B級映画の本来あるべき形ではない。本作のように、まともな映画には出来ない、そもそもやろうともしない狂った企画をやってのける事こそが、B級映画のあるべき形である。

感想

月からナチスが攻めてくる。何と荒唐無稽で馬鹿馬鹿しいことか。半分出落ちのようなアイディアだが、ナチス月面基地や、最終兵器「神々の黄昏」がアナログ感、鋼鉄感に溢れていて魅力的である。アメリカ政治をはじめとする現実への皮肉も利いている。「ワルキューレの騎行」をBGMにナチスが攻撃を受けるのも笑える。

チャップリンの『独裁者』の使われ方が印象的である。月面ナチスでは10分の短編映画として編集され、ヒトラーが愛で地球を包む物語になっている。流石はナチスである。プロパガンダが上手い。

フィンランド、ドイツ、オーストラリアの共同製作である。世界各国が条約を無視して宇宙船に兵器を搭載している中で、フィンランドだけが条約を遵守しているのはこういった事情か。製作にドイツが参加しているのも面白い。日本も第二次大戦の総括としてインパール作戦を題材にすれば、笑えるのに笑えないコメディができそうなのに。

ナチスの地球学者レナーテを演じるユリア・ディーツェがとても綺麗なので、個人的に征服されたい。美しい金髪に澄んだ青い目。アーリア人万歳。

ディレクターズ・カット版では月面基地の全貌等が追加されているが、阿呆映画は短くまとまっている方がよいので、通常版で十分ではないかと思う。

本作の公開から七年の時を経て、続編『アイアン・スカイ第三帝国の逆襲』が今年の七月に公開予定である。

アイアン・スカイ(字幕版)

アイアン・スカイ(字幕版)