オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『不都合な真実』

An Inconvenient Truth, 96min

監督:デイビス・グッゲンハイム 出演:アル・ゴア

★★★

概要

アル・ゴア地球温暖化について語るドキュメンタリー。

感想

少年時代の三十郎氏(当時はせいぜい十郎氏だろう)は地球温暖化を心から恐れていた。ちょうど京都議定書が締結されて環境教育が盛んだったのだろう。氷河が融けて海水面が上昇すると聞いた三十郎少年は「自分の住んでいる街が水没して溺れ死ぬ」という不安に取り憑かれていた。

不安があれど人生は続く。「死ぬ時は死ぬのだ」というトートロジー的諦観に達した三十郎氏は、日々の思春期的事情に忙殺され、溺死の不安を忘却の彼方に追いやった。

その後、大きくなった三十郎氏に水没と溺死のイメージを想起させたのは、海水面の上昇ではなく2011年の津波である。あの衝撃の映像(三十郎氏の人生においては9.11と双璧である)を見ながら、何故か少年時代の不安を思い出していた。大きくなっても阿呆のままだった三十郎氏はその時も「死ぬ時は死ぬのだ」と考えることを拒否した。

考えることを拒否しがちな三十郎氏には、本作の「人はよく否定から絶望へと飛躍してしまう。途中のステップを踏まず、問題を解決しようともせずに」という言葉は耳が痛かった。

環境問題の難しさは、国際協調の難しさに言い換えられる。仮に他の国が皆協力して温室効果ガスの排出量を抑えようとするならば、協力しない国だけが大きな経済的利益を得られるという囚人のジレンマ的構造がある。また、これまで環境破壊の原因を作りながら発展した先進国のために、発展不十分な途上国が犠牲になる義理はない(リストの保護貿易理論に近い)。

やはり解決は難しい。三十郎氏は再び絶望へと飛躍する。環境保護ビジネスのためという陰謀論が真実ならいいのに。

不都合な真実 (字幕版)

不都合な真実 (字幕版)