オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。

『ジュラシック・ワールド/炎の王国』

Jurassic World: Fallen Kingdom, 128min

★★★

あらすじ

恐竜をアメリカに連れて帰る話。

感想

二つの意味で期待外れである。一つは、完璧な焼き直しとでも呼ぶべき仕上がりで新旧のファンを喜ばせた前作と比較してイマイチだという点。もう一つは、逃げ遅れた男がモササウルスに食べられるシーンで頂点に達した興奮に、その後の展開がついてこられない点。

特大のファールで観客を期待させた後に送りバントしたような映画である。冒頭のモササウルスにはじまり、島からの脱出シーンまではとても面白い。問題はアメリカ本土に到着した後、その先は消化試合である。屋敷というのは、ホラー映画の舞台としては素敵だが、恐竜が暴れるパニック映画の舞台としては狭すぎる。 狭い舞台に押し込んでしまうと、作品のスケールも小さくなってしまう。

舞台が狭いので恐竜も小さい。遺伝子のデザインがかなり身近なってきたことで、驚異の知能を持つインドラプトルの存在自体は滑稽にはなっていない。しかし、やはり小さい。冒頭のモササウルスの興奮は、その大きさがもたらすものである。大きいものには畏怖の念を感じる。小さな恐竜にも魅力はあるが、主役となる恐竜は大きくなければロマンが足りない。

インドラプトルという悪役を設定したのはよいが、他の恐竜をヒーローとして便利に使い過ぎである。オーウェンクリス・プラット)と硬い絆で結ばれたブルーはまだしも、T.レックスがヒーロー然として人間を助けてしまうのはやり過ぎである。いくら人気者だからといっても、恐怖の対象でなければその魅力は半減する。

映画館で観た時には島からの脱出までで前半1/4程度だと思っていた。予告編に使われている噴火する島のシーンが序盤で終わってしまうなんて思いもしなかった。しかし、実際には半分弱の時間を使っていた。それだけ楽しいシーンは短く、屋敷でワチャワチャするだけのシーンは長く感じていたことになる。

しかしながら、本作を単なる期待外れの一言で切って捨てることには抵抗がある。ハリウッドはタイトルのつけ方が上手い。ジュラシック・「パーク」ではなく「ワールド」である理由を上手く示してくれたので、次回作に期待せざるをえない。また、原題の“Fallen Kingdom(墜ちた王国)”も、恐竜たちの王国が壊滅したと思わせておいて、実は人間の王国こそが滅ぶというのは、実に上手いダブル・ミーニングである。

前作も本作も興行的には大きな成功を収めているので、次回作には稼いだ金を存分に注ぎ込んで傑作を創り上げてほしい。もし本当に魅力的なジュラシック・「ワールド」を描くことに成功すれば、そこへと導く本作の価値は高まる。逆に失敗すれば、本作の意味もまた失われる。その時までは確たる評価を保留したい。

クレアを演じているブライス・ダラス・ハワードは、やはりジェシカ・チャステイン見分けがつかない。上体が仰け反っているが、走る姿が美しい。

前作もそうだったが、プライム入りするのが早かった。2019年4月現在、シリーズ1作目から全ての作品がプライム・ビデオで鑑賞可能となっている。嬉しい話である。