オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『椿三十郎』

Sanjuro, 95min

監督:黒澤明 出演:三船敏郎仲代達矢

★★★★

概要

凄腕の侍が若侍たちを教育する話。

短評

用心棒』の続編的な作品である。続編と言い切れないのは、『用心棒』で三十郎が斬り殺した人物たちが本作で別の人物を演じ、また斬られているからである。完全な続編ではなく、ある程度パラレルなものと考えた方がよい。

感想

どちらの陣営にも与せず自由自在に動き回った「桑畑」と違い、本作の「椿」三十郎は、正義に燃えるが思慮と知恵の足りない若侍たちに加担する。憎まれ口を叩くが、困っている者を放っておけない素敵な男なのである。

若侍サイドに付くが、知略溢れる三十郎は本作でも部外者という立場を最大限に利用する。喧嘩でも議論でも、特定の立場がない(ように見える)人が強い。

『用心棒』との違いは、三十郎の立ち位置だけでなく殺陣の増加にもある。奥方に「鞘の無い刀」と称される程に、本作の三十郎は斬りたがりである。数多の敵をを情け容赦なく斬り捨てる。

そして、何と言っても最後の決闘である。ニコラス・ウィンディング・レフンが「暴力はセックスと同じで、盛り上げ方が重要」と語るように、一瞬の結末に至る前に両者の間に流れる沈黙と緊張は、否応なく鮮烈な描写への期待を盛り上げる助走となる。

奥方の存在が印象的である。半分呆けている程におっとりしていて少々イライラさせられるのだが、意外にも本質を突いてきて三十郎にも影響を与える。

本作で好きなカットは、将棋盤の上で胡座をかく三十郎が若侍たちに説教を垂れる場面である。

椿三十郎

椿三十郎