オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『さらば、愛の言葉よ』

Adieu au Langage(Goodbye to Language), 69min

監督:ジャン=リュック・ゴダール 出演:カメル・アブデリ、ゾーイ・ブリュノー

★★

概要

不倫カップルと犬の話。

感想

三十郎氏とジャン=リュック・ゴダールの出会いは大学入学時まで遡る。お洒落そうだという阿呆な理由で第二外国語にフランス語を選択した三十郎氏は「大学生たるものフランス映画の一つや二つ語ることができねばならぬ」と思い、タイトルだけは知っていた『気狂いピエロ』を手に取った。

「よく分からないけど何だか面白いな」という現在と変わらぬ阿呆な感想を抱いた三十郎氏であったが、自分のことを見る目のある男だと思い込みたかったため、素晴らしい映画だということにしておいた。しかし、迂闊にフランス映画を語ると怪我をすることに気づく程度には賢明だった三十郎氏が、それ以外の作品に手を伸ばすことはなかった。

それから約二年が過ぎたある日、大学にやってきた三十郎氏は授業が休講であることに気付く。たまには図書館で勉強でもしてみるかと殊勝なことを考えたが、試験が近いわけでもないのに勉強に身に入るはずもない。早々に勉強を諦めた三十郎氏が図書館をウロウロしていると、視聴覚コーナーがあるのを見つけた。入学三年目にしてようやくの発見である。それほどまでに三十郎氏と大学図書館は疎遠であった。

どうやら映画も観られるらしい。タイトルが気になって『中国女』を手に取る。なんとジャン=リュック・ゴダール監督作である。三十郎氏は、ふと「大学生たるものフランス映画の一つや二つ語ることができねばならぬ」という初心を思い出す。

「よく分からないけど何だか面白いな」という二年前の感想から打って変わって、さっぱり分からないし全く面白くない。内容はヒロインの女がひたすら共産主義について語るものだったように記憶している。三十郎氏は心地よい眠りに誘われ、次の講義までの時間を潰すという当初の目的は無事達成された。目を覚ました三十郎氏は、ゴダールの映画を理解できるなどという思い上がりを捨て、袂を分かつことに決めた。

それから十年以上の月日が流れた。成長しない、学ばないことに定評のある三十郎氏は三度ゴダール作品に手を出す。さっぱり分からないし面白くない。「毛沢東を評価するのは、まだ早い」という台詞があり、ゴダールがまだ共産主義を捨てていないことだけは分かった。一般人の撮影した映像を継ぎ接ぎしたようなものが多く、観念的な内容の退屈さを埋めてくれるような美しい映像もない(画面が回転するショットだけは印象的だった)。綺麗なのはおっぱいくらいである。

三十郎氏は、ゴダール氏と再び袂を分かつことを決心した。