オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ナイト・オン・ザ・プラネット』

Night on Earth, 127min

監督:ジム・ジャームッシュ 出演:ウィノナ・ライダーロベルト・ベニーニ

★★★★

概要

五つの都市を走るタクシー運転手と乗客のオムニバス。

あらすじ

若い女性ドライバーが映画のキャスティング・ディレクターを乗せる「ロサンゼルス」編。東ドイツから来たばかりの運転手に替わり客が運転する「ニューヨーク」編。コートジボワール移民の運転手が盲目の女性客を乗せる「パリ」編。お喋りな運転手が客の神父に懺悔を始める「ローマ」編。三人組の酔っ払いと運転手が不幸比べする「ヘルシンキ」編。

感想

「ロサンゼルス」編でドライバーのコーキーを演じるウィノナ・ライダーの眩いばかりの輝きである。右耳に一本煙草を挟み、別の煙草をふかす。一見粗雑に見えるが、客がよく見えている。客だけでなく自分自身もよく見えている。映画の世界に誘われても舞い上がらず、自分の道を行く。芯の強い彼女がなんと素敵であることか。パッケージに写る彼女をひと目見ただけで一目瞭然であるが、ボーイッシュ美人とはこのことである。動き喋る彼女はもっと素敵である。一時期は問題行動を起こしたりと典型的凋落を見せたが、最近は復活気味で嬉しい。

「ローマ」編は、ほぼ全編がロベルト・ベニーニの一人芝居。客が乗っていない時には一人で喋り通し、神父が乗って静かになったかと思えば、許可を得ることなく懺悔を始める。獣姦や義姉との不貞といった破廉恥な話を、およそ懺悔とは思えない陽気な口調で一方的に続ける。傍から見る分には愉快だが、彼の運転するタクシーには乗りたくない。陽気でお調子者のイタリア人というステレオタイプの形成に一役買っている。

夜というのは不思議である。日常の延長でありながら、日常とは違う世界のようでもある。おかしなことが起こるような気配がある。どの章の終わりにも余白がある。その余白は、日常と非日常を繋ぐトンネルのように感じる。

ビクターが出資していたり、ニューヨークに日本企業の広告が溢れている等、バブルの残り香を感じることができる。