オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『姿三四郎』

Sanshiro Sugata, 79min

監督:黒澤明 出演:大河内傳次郎、藤田進

★★

概要

道家の青年が成長する話。

短評

1943年製作。黒澤明のデビュー作。姿三四郎青年が、柔道家として、人として成長する青春活劇である。

感想

物語は文字通りのぶつ切りである。文章での説明も入る。それもそのはず。公開当初は97分あったものが、黒澤の知らぬところで79分に短縮された。その後、再編集しようにも戦時中にフィルムが失われてしまったということである。これら事情の説明とお詫びが冒頭にある。DVDでは91分版のものが観られるそうである。

三四郎が相手を投げ飛ばす(文字通り飛んでいく)漫画的ダイナミックな演出や、檜垣との果たし合いの前に三四郎が強風吹きすさぶ草原で一人歌うカットは、後年の黒澤映画に通じるところがある。

お馴染みの三船敏郎が黒澤映画に初めて出演したのは1948年の『酔いどれ天使』だが、志村喬は既に本作から出演している。当時まだ40歳にもなっていないのに、薄らハゲの老人を演じている。三四郎との対戦シーンでは、ダンスのような組み合いを見せたかと思えば、ロッキーの如く不屈の闘志で何度でも立ち上がる。凄いのか凄くないのか分からない柔道である。

三十郎氏は黒澤明が傑作を撮った巨匠であることを知っているので「この映画自体はそこまで面白くないけど、黒澤映画史の資料的な魅力があるな」などと偉そうに考えてみるのだが、大ヒットしたそうである。当時の観客の方が、よほど見る目がある。三十郎氏のような観客しかいなければ黒澤という才能が埋もれていたかもしれない。

姿三四郎

姿三四郎