オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『静かなる叫び』

Polytechnique, 77min

監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ 出演:マキシム・ゴーデット、カリーヌ・ヴァナッス

★★

概要

女嫌いの男が大学で銃乱射事件を起こす話。

短評

1989年にモントリオールの大学で起きた銃乱射事件の映画化。監督のドゥニ・ヴィルヌーヴは、時に社会的な、時に哲学的な題材を選ぶので、作家性の強い映画監督のように見える。しかし、三十郎氏としては彼の作家性よりも職人性に魅力を感じる。

感想

ヴィルヌーヴは、画面に緊迫感を生み出す名手である。本作においても、一発目の射撃音が走らせる緊張には絶望的なものがある。近年の作品とは異なり、不協和音を多用したBGMが使われていない。音楽との相乗効果がないので、場の緊迫感という一種の娯楽性は薄くなっている(明らかに娯楽作品ではないので仕方ない)。

事件の終わりに犯人が自殺するため、犯人の遺した手紙以外に彼のことを知る材料がない。生き残った者たちの悲痛さは苦しいまでに描かれるが、犯人の掘り下げが浅いのはやはり物足りない。表面的には非モテ男が逆恨みの末に暴走したようにも受け取れてしまう。凶行に至る背景が分からなければ、事件の持つ意味や、社会的に解決すべき問題も曖昧なままである。

静かなる叫び(字幕版)

静かなる叫び(字幕版)