オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『悪い奴ほどよく眠る』

The Bad Sleep Well, 150min

監督:黒澤明 出演:三船敏郎森雅之

★★★

概要

自殺した父親の復讐を試みる男の話。

短評

とても後味の悪い映画である。本当に「悪い奴」は姿を見せることすらしない。主人公の西幸一(三船敏郎)が復讐しようとしている岩淵たち「悪そうな奴ら」も小物に過ぎない。社会悪とは、個人に帰するようなものではなく、社会構造そのものである。

感想

映画冒頭、不穏な結婚式の会場で複雑な相関関係が過不足なく説明される。時系列を追って説明していれば、二時間半の映画が更に長くなるところである。結婚式というのは、関係者が一堂に会する映画的に便利な舞台らしい。『ゴッドファーザー』のオープニングも同様である。

終盤まで主人公による知略に富んだ復讐劇かと思い込んでいたが、復讐が成功するのならこんなタイトルにはならない。映画の最後に冒頭と同じ「悪い奴ほどよく眠る」のタイトルが出てきて、その事実を突きつける。

心理的なスリルはあるが、流石にスペクタクルは鳴りを潜めている。

悪い奴がよく眠るのは大変に結構なので、そのまま目覚めないでほしいものである。

悪い奴ほどよく眠る

悪い奴ほどよく眠る