オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『蜘蛛巣城』

Throne of Blood, 109min

監督:黒澤明 出演:三船敏郎山田五十鈴

★★★

概要

主君を殺して城主になった男が発狂して殺される話。

短評

シェイクスピアの『マクベス』を換骨奪胎した映画。予言に誘惑され、妻に唆され、主君を殺めて城主になっても疑心暗鬼から逃れられない。三船敏郎の演技が光る一作。

感想

霧や靄、砂埃を印象的に使っている。映画冒頭、「蜘蛛巣城跡」と記し立てられた木材に霧がかかって見えなくなり、霧の中から蜘蛛巣城が現れる。悲劇的結末を予感させる名場面である。「森が押し寄せてこない限り戦に負けることはない」という予言を根拠に戦う鷲津武時(三船敏郎)の元へ森が押し寄せてくるシーン。移動する森の足元には怪しげな霧がかかっている。この霧の正体がスギ花粉であれば、兵たちは深刻な花粉症に悩まされるだろう。

鷲津を大量の矢が襲う有名なシーンでは望遠レンズによる圧縮効果を上手く利用している。見事な映像のトリックである。映像的詐術であると言っても、演じている三船敏郎は実際に怖かったらしい。真に迫る演技ではなく真実の恐怖である。

鷲津が主君を手に掛ける姿を直接映すことなく、部屋の出入りと行間、手に付いた血液で表現している。これが引き算的演出というものか。黒澤映画は映画の教科書である。

音声の状態が酷かった。字幕が欲しい。

蜘蛛巣城

蜘蛛巣城