オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『隠し砦の三悪人』

The Hidden Fortress, 138min

監督:黒澤明 出演:三船敏郎千秋実藤原釜足

★★★★

概要

戦に負けた秋月家再興のための埋蔵金を侍と百姓が運ぶ話。

あらすじ

百姓の又七と太平は戦に参加するも何も出来ず捕虜となり、埋蔵金発掘作業に従事させられる。捕虜の暴動に紛れて脱走を果たした二人は逃走の道中で金を発見する。そこに現れた屈強な男、真壁六郎太に上手く利用されることになる。

映画の開始からしばらくは阿呆二人の珍道中。二十分ほどしてから真打ち、三船敏郎が登場。なるほどこれは『ジェダイの帰還』の冒頭そっくりである。

感想

七人の侍』で描かれた百姓たちの姿は、弱々しく見えるが実は狡猾というものだった。それとは対称的に、又七と太平の二人は小狡いが全て裏目に出る阿呆である。彼らの企みが成功しないのは、六郎太が百姓の扱いを心得ていることによる。二人は金を我が物にすべく小賢しく立ち振る舞うが、六郎太は先刻承知。三人のやり取りは実に愉快である。

二人が六郎太に穴掘りをさせられるシーンが気に入った。捕虜としての穴掘り仕事からせっかく脱出してきたのに、六郎太に同じことをさせられていて滑稽である。それでも最後には褒美をもらい、仲良く国へ帰るのは黒澤の優しさか。

コメディだけに留まらないのが黒澤映画の良さである。笑いで話を繋ぎながら、スペクタクルや殺陣をきっちり盛り込んでくる。おびただしい数のエキストラが動員された捕虜による暴動の迫力は、迫り来る津波の如しである。

黒澤映画は、面白いが台詞が聞き取りづらく少々疲れる。午前十時の映画祭で4Kリマスター版『七人の侍』を観た時は、音声が以前よりもかなりクリアになっていた。『用心棒』と『椿三十郎』も4K リマスター版が上映されたようなので、他作品もリマスターが行われているのではないか。UHD BDの販売や4K版の配信はないのだろうか。

U-NEXTでは黒澤明監督全30作の内『デルス・ウザーラ』を除く29作が配信中である。以前は『デルス・ウザーラ』も見られたような気がするが気のせいか。

隠し砦の三悪人

隠し砦の三悪人