オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『英雄の条件』

Rules of Engagement, 127min

監督:ウィリアム・フリードキン 出演:サミュエル・L・ジャクソントミー・リー・ジョーンズ

★★★

概要

イエメンの米大使館に群がるデモ隊を殲滅した大佐の軍事裁判。

あらすじ

イエメンで米大使館が包囲されるデモが発生した。大使救出作戦の指揮を執るのはチルダース大佐(サミュエル・L・ジャクソン)。部下が射殺され、鬼気迫る状況に大佐は発砲を許可する。その結果、一般市民を含む80名以上の死者が出る事態に。発砲を許可したチルダースは軍事裁判にかけられ、ベトナムでの戦友であるホッジス(トミー・リー・ジョーンズ)に弁護を依頼する。

感想

冒頭のベトナムでの戦闘も激しく血飛沫が飛び迫力があるが、イエメンでの市街戦はもっと怖い。群衆の叫ぶ意味の分からないスローガンをBGMに、デモ隊や銃弾が迫り来る。「中東地域は歴史的にも文化的にも魅力的だけど、実際に行くのは怖いなあ」なんて思いながら観ていたが、本作は酷く差別的だとして批判を浴びたそうである。中東地域は危険というイメージ自体が映画やドラマによって植え付けられている面は否定できない。でも怖いものは怖い。

序盤の迫力ある戦闘シーンとは対称的に、中盤以降の軍事法廷はスリラーとして弱い。原因は、米政府を分かりやすい悪役として設定してしまったこと。「大使館からの救出作戦で本当は何が起きたのか」「チルダース大佐の判断は正しかったのか」という魅力的なミステリーが放棄されたので、「悪辣な政府の陰謀から大佐は助かるのか」という陳腐なドラマを見守る以外に観客は選択肢を奪われる。群衆からの発砲シーンを大佐に回想させた時点で、ミステリーは完全に死んでしまった。

実話でもないだろうに、関係者のその後をテロップで伝えるのはいかがなものか。

原題のRules of Engagementは交戦規定の意味。エンゲージリングというのは、戦いの始まりを意味するのかもしれない。

英雄の条件(字幕版)

英雄の条件(字幕版)