オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ブレードランナー』

Blade Runner, 116min

監督:リドリー・スコット 出演:ハリソン・フォードショーン・ヤング

★★★★

概要

探偵が脱走したアンドロイドを探す話。

感想

退廃的な近未来の世界観が従来のイメージを一変させ、後のSFに大きな影響を与えたと言われる。ダークなSF映画を観て「どこかで観たような…」と思ったら本作が元ネタだと思っておけばよい。煌々とロサンゼルスの街を照らすネオンの光とは対称的に、道は人とゴミが溢れて汚く、部屋は薄暗く埃っぽい。現実の世界と地続きの近未来の姿がそこにある。『ブレードランナー』以前の映画が本作に与えた影響も気になるところだが、そこまで映画史に詳しくはない。

ブラックホールの如き引力で観客を惹き付けるビジュアルとは対称的に、難解なストーリーはしばしば三十郎氏のような阿呆を置き去りにする。解説と呼ばれる文章を読んでみて分かったつもりになる。そこで改めて観てみると「本当に分かったのか…」と混迷を深める。分かったような分からないような曖昧な理解が、何度でも繰り返し鑑賞するように仕向けてくる。観客にとって名作とは完成しないものである。

難解なのは映画の内容だけではない。どのバージョンを見ればよいのかという類まれな問題を本作は抱えている。異なるバージョンの数はなんと7つにも上る。現在視聴可能なバージョンはその内の5つ。プライム・ビデオでは「ディレクターズ・カット」と「ファイナル・カット」の2つのバージョンが配信されている。いずれかのバージョンを観たことがあるという人は、未見のバージョンを観ればよいと思う。一度も観たことがない人はきっと「一番評価の高いバージョンが観たい」と贅沢を言うだろう。どれを観ればいいのか迷った挙げ句に見逃し続けている人もいるだろう。三十郎氏にバージョンごとの違いはよく分からない。それでも敢えて言おう。「ファイナル・カット」を観ればよい。「ディレクターズ・カット」を作った後に“ファイナル”の名を冠して監督自身が再編集しているのだ。きっと本人が最も納得しているバージョンに違いない。

舞台は2019年、今年である。劇場公開は1982年、40年ほど先の近未来を描いていた。現実の2019年では、空に車は飛んでいないし人造人間も存在しない(三十郎氏が気づかない内に紛れ込んでいる可能性は否定しない)。ビキニアーマーに雨合羽という出で立ちで街を歩く美女もいない。テクノロジーの進歩がSFの世界に追いつかなかったのは残念だが、酸性雨が降りしきるまでに環境破壊が進まず地球が荒廃していないことは喜ぶべきだろう。実現された映画内のテクノロジーは音声操作あたりだろうか。

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