オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ぐるぐる問答:森見登美彦氏対談集』森見登美彦

概要

森見登美彦氏と十五人の相手との対談集。

感想

対談の相手は、劇団ひとり万城目学瀧波ユカリ柴崎友香うすた京介綾辻行人神山健治上田誠羽海野チカ大江麻理子萩尾望都、飴村行、本上まなみ綿矢りさ、十年前の森見登美彦(敬称略)の15名。

世の対談という形式に共通する「相手のことを褒めねばならぬ」という暗黙のルールの下でのやり取りが苦手なのだが、対談相手の作品に興味を持たせたり、自分の気づいていなかった魅力を発見できたなら、面白い対談だったと思ってよい。

綾辻行人氏との対談は2007年に行われているのだが、その後の森見作品で主題となっていく世界観を的確に見抜いている慧眼は流石。

「もしもその糸を辿っていくことができるなら、この街の中枢にある、とても暗くて神秘的な場所へ通じているような気がするんだ」というひとくさりがありますけど、これが森見さんの世界観、というか京都観の核心だと受け止めていいんですよね。

森見登美彦『ぐるぐる問答:森見登美彦氏対談集』より

ペンギン・ハイウェイ』『夜行』を経て『熱帯』が出る遥か以前に指摘している鋭さである。ちなみに氏の作品は館シリーズを一気に読もうと試みたが、『暗黒館の殺人』を読み終えたところでどっと疲れが出て残りは挫折した。綿矢りさ氏も「入れ子」の怖さについて指摘しており、はっとさせられる。

柴崎友香氏にプレゼントされたという招き猫は『総特集 森見登美彦:作家は机上で冒険する!』の仕事場の写真に写っているものなのだろうか。

登美彦氏自身が熱望して実現したという大江麻理子氏との対談が、最も内容が薄くつまらないというのが笑いどころ。

10年前と現在の登美彦氏の写真を比較すると、現在の方が頭髪がウネウネしている。

ぐるぐる問答: 森見登美彦氏対談集

ぐるぐる問答: 森見登美彦氏対談集