オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『聖なる怠け者の冒険【挿絵集】』フジモトマサル

概要

新聞連載時の挿絵を再構成したもの。森見、フジモト両氏のコメント付。

感想

三十郎氏の知る『聖なる怠け者の冒険』とは随分様子が違う。単行本化にあたって連載時の原稿を全面的に書き直しているので、当たり前といえば当たり前なのだが。知らない登場人物はいるし、小和田君は大日本沈殿党を乗っ取り「悪の帝王」として君臨している。

著者本人が失敗だったと認めてなかったことにしていても、読みたくなるのがファンというものである。本書で断片に触れるとその思いは強くなる。三十郎氏は大いなる駄作『ジゼル』も読んでみたいと思っている。図書館で朝日新聞アーカイブを閲覧できたりするのかな。できたとしても、図書館で全て読むというのは、どうにも落ち着かないし楽しめそうにもない。とても熱心な読者は、切り抜きを保管していたりするのか。

登美彦氏がフジモト氏の質問に悉く答えられず困らせている。挿絵を描くにあたって必要な服装などに関する情報がなく、登美彦氏自身もイメージしていない。先にイメージがあってそれを文章化しているのではなく、文章ありきで文章が世界を創るという登美彦氏の創作姿勢が分かるエピソードである。

フジモトマサル氏のどこか気の抜けたような作風が、登美彦氏の愉快な文章にぴったりである。残念ながらフジモト氏は2015年に白血病で亡くなったとのこと。ご冥福を。

聖なる怠け者の冒険 挿絵集

聖なる怠け者の冒険 挿絵集