オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『はじまりへの旅』

Captain Fantastic, 119min

監督:マット・ロス 出演:ヴィゴ・モーテンセンアナリース・バッソ

★★★

概要

森の中で野生的生活を送る一家が母親の葬儀のため町に出る話。

感想

祖父の家に預けた子どもたちが父ベンの下に帰ってくるシーンをどう捉えるべきか。主人公であるベンに感情移入して本作を観ている場合は感動的なシーンで、ベンとの生活の中で子どもたちがしっかりと成長していると感じられる。一方で彼の教育に批判的な立場から見ると、親による洗脳は簡単には解けないというシーンに見える。

果たしてベンによる教育は正解なのか。本人は過ちを認たが、全てが過ちばかりではなかったというバランスを取りに行った結末である。彼の生活や教育の問題点は、目的の見えない点にあるように思う。サバイバルスキルを磨き膨大な知識を得ても、それをどう活かすのか。自分たちが始めた森での生活の行く末が本人にも見えていなかったのだろう。習い事や部活動をし受験勉強で蓄えた知識をどう活かすのか。それは現代社会に生きる人々にも共通していて正解は見えない。

キャッシュ家では無意味だからという理由で「興味深い(interesting)」という単語が禁止され、具体的な言及が求められている。このルールには全面的に賛同せざるを得ないと同時に耳が痛い。三十郎氏も「面白い」とか「素晴らしい」といった曖昧な称賛を今すぐにやめるべきである。

はじまりへの旅(字幕版)